ニオさんの訴えに、私は少し戸惑った。




私が…パピヨンに何をしてあげられるの…?


私なんかがパピヨンを救えるの…?



ーーー救えるわけ…ないよ…





「…無理です、ニオさん……」



ピクッとニオさんの肩が震えた。



「こんな私なんかが、彼を救えるわけがありません……
いつも自分のことだけを考えて、自分の自殺のことだけを考えて……
いざとなったら他人にかけられる言葉が見当たらないんです…
ーーーそんな私にパピヨンを救えるはずがありません…」




ーーー私は…


本当に情けない人間だ……






「チャンぴか、彼はきっと重ねているの」


「…え?」



私はニオさんを見つめた。


ニオさんの目から、一粒の涙が溢れた。



「彼はね…
失った彼女とあなたを重ねているの…」



ーーードキッ



私の体に衝撃が走った。


ニオさんは続けた。





「私、パピヨンからチャンぴかの写真を撮るなって言われた時、気づいてしまったの。
彼は絶対にあなたを失った彼女に重ねているって…

ーーー彼女が亡くなった後、パピヨンの元には大量の彼女の写真だけが残った。
どれもこれも見たくないものだったに違いないわ。
パピヨンが本当に見たかったのは写真の中の笑顔じゃなくて、本物の彼女の笑顔だったから…

ーーーチャンぴかも同じだったのよ!
もしもあなたが自殺した後、あなたの写真だけが残ったらって考えたら、怖くて怖くて仕方がなかったのよ!
パピヨンはずっと…本物のあなたを見ていたいって…思ってたのよ…!」



「うぅ……」



また涙がこみ上げてきた。



パピヨンは私のことをーーー


そんな風に思ってたんだーーー





「チャンぴか。
あなたの声は天国の彼女の声そのものよ…!
あなたの言葉で、彼を救ってあげて…!

ーーー私はずっとずっと彼を救おうとしてきた。
でもダメだった。
私は彼女にはなれなかったから……

ーーーチャンぴかは彼女よ!!
あなたが思ったことは、きっとパピヨンの心に響く…!!
思ったことをそのまま言えばいい。
あなたの思いを…パピヨンに伝えて…!」





ニオさんは大粒の涙を流しながら、私に伝えてきた。



自分がどんなにパピヨンを救いたいかをーーー



自分がどんなに竜也を愛していたかをーーー