ーーーあれから、奴と会うことは一度もなかった。




私は大学を卒業した後、そのまま隣県の会社に就職した。





OLとして過ごしていく日々。



社会の中で生きていくため、私は極力鬼の自分が出てこないよう、表の自分を作り上げた。




もっと、女性らしくーーー


もっと、大人っぽくーーー


もっと、色気を出してーーー








ーーーそんなある日のこと。




「咲田さん、お疲れ様でしたー!」


「お疲れ様です!」




いつもより仕事が早く終わり、私は足早に会社を後にした。




ーーー今日はパックと、あと雑誌も読みたい……



美容のことで頭がいっぱいになりながらも、私は帰り道をスタスタと歩んでゆくーーー











ーーーその時、



「……何あれ」



前方にド派手な格好をした男が見えた。




上下白スーツに、胸元をざっくりと開けた真っ赤なシャツ。


金髪の髪はまるで爆発しているみたい。




男は両手をポケットにしまって、下を向きながら歩いていた。






ーーーこんなに変なやつも…世の中にはいるのね……




私は普段通りに、その変な格好をした男とすれ違ったーーー



















ーーーえ?




すれ違った瞬間、私はふと懐かしい面影を感じた。




ーーーえ、まさか…!!




私は急いで振り返ると、変な格好をした男に向かって叫んだ。







































「ーーー竜也!?」




ピタッ



ふと男は立ち止まると、私の方を振り向いた。




「あ……」



私は目を疑った。



間違いない。




目の前に立っているのはーーー



私がかつて恋をしたーーー










千崎竜也だったーーー