ーーー兄貴さんに抱きしめられてる寺内は、声を上げて泣いていた。 子供みたいに、兄にすがる弟みたいにーーー ワンワンと泣いていた。 ーーーでもこれはきっと、寺内の止まった時間が動き始めた証拠。 寺内はーーー前に進み始めたんだ。 ーーーリングの端っこ。 パピヨンは下を向いて黙っていた。 口元に、優しい笑みを浮かばせてーーー