私の好きな人


「もういいよ、お父さん
早く中に入ろう

慶都、どうぞ中に入って。」


私は、お父さんやあの女の顔は見ずに
慶都の手を握り、家の中に入れた


いいよ、もう
あの女を母親なんて思ってないから

私のことを邪魔に扱う女なんて
母親じゃない


「大丈夫だから…
雫には、俺がいるよ。」


慶都は、私の気持ちが分かったのか…
私の手を強く握り返して、私にしか聞こえない声で優しく言ってくれた


やっぱり私には…
慶都がいれば十分だ

慶都の言葉で
さっきまでのイライラが消えた


やっぱり私には、慶都しかいない