「土方さーん。朝ですよー。」
一応障子の外から声をかけてみる、がいつも返事はかえってこない。
「土方さん、失礼しますよー」
あ、向こう側に寝返りうった。
「土方さん。朝ですって。おきてくーだーさーいー。」
おもいっきり揺らす。
「ッチ」
土方さんの拳がこちらにむかって飛んでくる。
が、それをシュッとよける。
「へっへー、寝起きの土方さんのパンチなんてかんたんによけれますよー!」
「うぜぇ。うせろ」
ふとんをもぞもぞさせながら言う。
「もー起きないと...串刺しならぬ、刀刺しの刑だぞ☆」
懐に忍ばせていた懐刀を土方さんに向かって振り下ろす。
瞬時に土方さんは布団から出る。
「おっま、なにやってんだ!!」
少しばかりの殺気をおつけしといたため、危険を感じたんだろう。
「ふふん。残念、さくから抜いてませーん」
土方さんはハァとため息をつく。
さくからぬいていなかったら、いまごろ布団に穴があいていた。
それは女中としてだめですよ。
てかため息つきたいのはこっちだってぇの。
毎日毎日土方さん起こすの大変なんだから
「よし、土方さん起きましたね。朝餉行きますよ。みんな待ってる。」
「あぁ。」
土方さんは短く返事をして、広間へ向かった。
「おいてかないでくださいよー。」
そう文句を言いながら土方さんを追いかけた。