「前にも言った通り、俺は随分長い間
本と教科書がお友達だったからな」


「そ…そっかぁ…!
え…でも、えと…
で、でも…どうして…
先生にならなかったんですか?」


「俺は"アサノ"の跡取りだし
継ぐ事は決まっていたからね

…しかし、だからこそこうやって
ユキナの力になる事も出来た」


「……アサノさま」




「――… 運命は、変えられるよ」


「…えッ」


「ユキナが聞きたかったのは
そういう事だろう?」


「………は…ぃ」




「…ただ俺は、もう大人だし

…どうしようもない事が
あるってことも、知ってる」


「……」




ノックの音


「はい」


「失礼いたします
旦那様、お客様が…」