「あ〜 よく寝た!」


映画館の外で
爽快に伸びをするリョウスケ
…初デートで眠った罪悪感なんて
これっぽっちもないらしい…


「ま、リョウスケらしいけどね」


「ん?なになに?」


「…なんでもな〜い!」


リョウスケの腕に、腕をからめる


「せっかく外出たし、どっかで飯食う?」


…え

そう思ったけど


駅前、人のたくさんいる
スクランブル交差点を渡りながら
…なぜリョウスケが
逃げ場所にここを選んだのか
やっと分かった気がした…


ここは…
人が、人を隠すんだ…
ここにいると私たちは
『その他大勢』になれる…


特別じゃない…
手をつなぎあってる
普通の恋人同士になれるんだ…



「…うぅん
ねぇ…早く部屋に帰ろぅ…?」


すごく素直に
自分の気持ちを言った
それなのに…


「うわ〜…エロいな〜 ユキナ」

「な…ッ?!!違ッッ!!!
そぉゆう意味じゃないしッ!!」

「顔真っ赤」

「〜〜〜〜ッッ!!」


「じゃあ本でも買ってく?
おまえ洗濯行くと、マンガ読んでるし
俺いない時とかヒマだろ?」


「…あれは」


…リョウスケが読んでる物
私も知りたいから、読んでただけで…


「…それに」


「ん? あ、信号渡っちゃおう」


「うん…!」


あのね…?リョウスケ…