「ユキナ、おかえりぃ」


「…ただいまぁ」



――… やっぱり、彼が来てた



「なぁユキナ!なんか作ってくれよ
ずっと寝てたら腹減っちゃってさぁ」


「うん…」




彼の名前は『ヨル』


春、高校の友達と一緒に行った
河原でやったバーベキューで
声をかけられて知り合った


ヤリ目っぽいけど
ダンサーやってたり、面倒見いいし
女子からの人気も、かなりあって
その日にコクられた時は
本気でびっくりした




そのうち
ヨルが通っている大学から
うちが近いっていうのもあって

いつのまにか私の部屋に
泊まって行くようになったんだけど


…実をいうと、告白の返事を
私はまだ、していない




ヨルもぜんぜん聞いて来ないし


中学の時、両親が事故で亡くなるまで
私はずっと女子校の寮に入ってたから


男の人との付き合い方とか
よくわからないのもあって…



でも ―――

ヨルは私が
他の男友達と遊んだりすると
火のように、怒る


前、高校の帰り道
男子と歩いてるのを見られた時
一緒に歩いてただけって説明したのに
道で思いきり、殴られて…



逃げ出して
道をフラフラ歩いてる所を
リリスさんが、声をかけてくれて
『屋敷』に連れて行ってくれたんだ