『…ねっ?…不思議でしょ?』
一瞬真面目になったかと思えば、直ぐにいつもどおりの調子に戻る男。
だけど、憶測ではあるが、やはりいつもの男と何かが違う、と女は察していた。
今まで“可愛がる”という言葉で濁していただけで、“これまでの子には全く興味を示さなかった”。
『(もしかしたらこの時を待っていたのか…──?)』
『…リコさん、分かり安すぎ。
なーに企んでんの…?』
そう言うと、男は女に鼻がくっつくぐらい顔を近づけた。
女は一瞬『なっ…』という動揺を見せたが、
『ふざけないでくだ───さいッ』
『ぐあっ』
男の顔を手のひらでばいんっと跳ね返した。
すぐに顔を上げた男だったが、少し顔を赤らめている女を見るとまた不敵な笑みを浮かべた。
『ジョーダンだよ、冗談。
照れてるリコさんなんてレアだなあ──なんて』
そう言いながら男は、女に敵意むき出しの少女を宥めた。
そうすると少女は先程からは考えられないほどに落ち着き、男の手に頬ずりをしている。
『…随分と懐いているんですね、気味が悪いほどです
リーダーにそんな趣味があるなんて皆さんが知ったら驚かれますよ』
その後に『まあ殆どの方が勘付いていますけどね』と小さく付け足した。
『…趣味っていうのかな…
でも君にも分かってるんだろ?
…じゃなかったら僕の研究に協力しないもんね?』
あはは、と面白そうに笑ってみせた。
──でもその顔は少し哀しそうに見えたのは気のせいだろうか…。
