「ねぇねぇ。」
「なになに?」
いつもの休み時間。
「昨日、私見たんだぁ~。」
「なに見たの?」
「学校の近くに公園あるじゃん。」
「あるある。」
「その公園のベンチでね。高梨さん、俊樹君と一緒に居たんだよ~。」
「俊樹君ってサッカー部の?」
「そうそう。」
「学年一イケメンの俊樹君がどうして高梨さんなんかと一緒にいるのよ~?」
「そうでしょ?おかしいと思わない?」
「思う、思う。」
「それってもしかして高梨さんが俊樹君を誘ったとか?」
「絶対そうに決まってるじゃん!」
「だよねぇ~。俊樹君が高梨さんを誘うなんてありえないもんねぇ~。」
「それにしても高梨さんって何様のつもり?俊樹君狙いだなんて。」
「ばい菌のくせに生意気だよねぇ。」
「そうよ。俊樹君に汚いばい菌うつったんじゃない?」
「うそぉ。なんて事するのよ~。」
「貧乏菌に不幸菌。」
「わぁ~、ヤダヤダ。」
「汚いばい菌のくせに。」
「そうよ、ばい菌のくせに。」
「ばい菌がイケメンに近づくなんてねぇ~。」
「ホントにばい菌、学校辞めてくれないかなぁ~。」
「辞めてくれたらみんな幸せなのにねぇ~。」
「いい加減に気付けよ、って感じだよねぇ~。」
ここまでは記憶があった。
次に気付いた時には校舎裏で座り込んでいた。
俯いたまま、涙だけが止まらなかった。
ただただ、涙が止まらなかった…。

