じっと自分の右手を見つめる。 「イヤっ!!」 高梨はそう言うと、顔を上げ俺に向かって睨んできた。 俺は…。 今日初めて、高梨の隣に座って、話しかけて、そして触れて。 分かった事がある。 高梨が睨んできた目は。 死んではいなかった。 たとえ外見がボロボロだとしても。 必死に生きている。 人間の目。 ばい菌なんかじゃない。 彼女は人間。 「彼女は人間…。」 その思いが込み上げる。 俺に出来る事なら…。