私、美姫は4月から高校2年生。

冬休みが終わって今日は、2年生初の学校登校日。

朝から緊張して、ろくに朝食も食べず玄関を飛び出してきてしまった。

必死に自転車をこいで約10分。

学校につくとボードの前で賑わっている。

「なんだかんだみんな早く来てるんだ。」

1人でボソッとつぶやくと私を見つけた友達がやってきた。

「美姫、おはよう♪♪」

私の唯一の親友、愛理だ。

「もう、クラス発表みた?」

元気そうに明るく私に話かけてくれるが

私は憂鬱そうに

「まだー。」

と答えた。

愛理は、誰よりも私のことを分かっている。

だから、

「一緒に見に行こ。大丈夫、私たち同じクラスだよ!」

と励ましてくれるが、その自信はどこから来るのだろうと思ってしまう。

2年生 クラス発表

そう書かれたボードには

2-3組の欄に愛理の名前。

2-4組の欄に私の名前があった。

私はショックでしばらくその場から動けなくなってしまった…

愛理と違うクラス、愛理と違うクラス。

「ねえ、ねえ!大丈夫??」

ハッと我に返って

「うん、ごめん。大丈夫、」

全然大丈夫じゃないけどそう答えた。

「隣のクラスだし、暇だったら遊びに行く。暇じゃなくても行くから!心配しないで。教室行こ!!」

私が人見知りでクラスになかなかなれないことを心配してか、そんなことを言ってくれた。

「うん、ありがと。教室行こう。」

そう言って2人で教室へと向かう。

2階につき、1組、2組の教室を通り過ぎていく。

私の4組は一番奥だ。

その前に3組の前で立ち止まり、愛理にお別れを言う。

「愛理、またね!帰り一緒に帰ろうね、絶対(笑)」

「分かってる。またね!」

そう言い残して教室へと入っていく愛理をしばらく見つめながら、1人で4組へと向かった。

4組につくと既に明るい女の子たちが新しい友達と話をして賑わっていた。

その雰囲気に、入るタイミングをなくしていたのか

入口の前に立ち止まっていた私は、1人の男子に話かけられた。

「そこ、どいてくれる?俺、このクラスなんだけど?」

身長が180センチありそうな長身でスラッとした体型。

見るからに運動部そうで、かっこいい感じの男子だった。

「ご、ごめんなさい。私もこのクラスです。よろしくお願いします。」

そう言うと、なぜかその男子に笑われてしまった。

「なに、緊張してんの?もしかして男子と話すの初めて?名前なんていうの?俺は、拓也だから覚えといて。」

そう言って教室に入っていこうとする拓也さんを呼び止めて自己紹介をする。

「ごめんなさい。私、こういうのに慣れてなくて。男子ともあまり話したことなくて。あ!名前ですね。
名前は、美姫っていいます!」

しばらくの沈黙の後、

「美姫かぁ。かわいい名前だな。」

そう言って黒板に指定されてある席についてしまった。

私も、席につこうと思い黒板を確認する。

すると、なぜか隣に拓也さんの名前があった。

見間違えじゃないことを確認し、席に座ると早速話しかけられた。

「なーんだ、隣だったんだ。俺、勉強あんまり得意じゃないから教えてね!!」

そんなことを言われて断れるはずもなく、

「いいですよ、私でよければ」

こんなことを言ってしまっていた。

まだ何か話したそうに横を向いてきた拓也さんだったが、先生によってそれははばかれた。

「今日からこのクラスの担任になる飯島だ。このクラスの担任として1年間楽しくやっていこうと思っている。」

優しそうな先生でよかったとホッとしたのも束の間。

「じゃあ、早速だが学級委員長を決めたいと思う。誰かやりたい人はいないか?」

先生がそう言った時、1 人の手が挙がった。

拓也さんだ。

「先生、俺がやってもいいですか?」

先生は、否定するわけもなく

「もちろん、やりたいという意志のあるものにやってもらえれば先生も嬉しいよ。」

「じゃあ、あと、委員長とペアでやってもらう女子を決めたいと思う。これは、誰かやりたい人いないかな?」

そのとき、急に拓也さんが

「お前やれ、お前じゃなきゃ困る」

とか、言い出すからびっくりして私は手をあげてしまった。

「じゃあ、その2人で。仲良くやってください。今日はこれで終わります。ありがとうございました。」

先生はそう言い残し、教室を出て行った。

そのあと、拓也さんが振り向いて、

「別に変な意味じゃないからな!お前、人見知りとかするだろ。お前が早くクラスになれるようにと思っただけだから」

と言って帰って行った。

わたしは小さくため息をつき、

帰り支度をしながら

愛理が教室に来てくれるのを待った。

少し経つと

愛理がきた。

私はいてもたってもいられなくなり、

帰り道では、愛理にこの事を話した。

愛理は、驚きを隠せないようだった。

「拓也ってあの拓也さん?美姫ってあの拓也さんに話しかけられたの?いいなー。しかも、同じ学級委員でしょ?羨ましすぎる!!!」

「拓也さんってそんなに有名なの?やっぱり彼女とかいるかな??」

「それがさ、彼女いないらしいのよ。どうも、女子が苦手みたいで。あぁ、でも不特定多数の女子とは遊んだりしてるみたいだよ!」

「そうなんだー。やっぱりそうなのか。モテそうなのに彼女いないのは意外だなー笑」

私は、そう言いつつもそれを知ってホッとした。