心の傷と爪痕を辿って


あたしが何処の誰だか、誰も一切話してくれないのは不自然だ。


「でもさぁ…」

麗奈は優しく、
だけど強く話す。

「このままでいいの?」

あたしはその言葉を聞いて顔を上げ、
麗奈を見た。



「このままずっと、逃げてていいの?」

優しい口調とは裏腹のキツイ言葉。

「別に、困らないし…」

涙声で出した声に、

「ホントに困らない?」

わかってる。

「菜実は自分が何処の誰だか知りたくないの?」

わかってるよ…

「もしかしたら家族の皆がいなくなっちゃてるかもしれないけど…でも、もし、生きてるんなら会った方があたしはいいと思う。」

たとえどんな親でも親は親だから…

と麗奈は悲しそうに呟いた。