心の傷と爪痕を辿って


あたしは少し声を荒げて地面に座り込んだ。

「菜実…」

そんなあたしに麗奈が近付いてしゃがみ込む。

「何が、怖いの?」

普段の麗奈からは想像出来ないくらい声がしっかりしてて、

とても真剣な目が真っ直ぐあたしを捕らえて離さない。

小刻みに震えるあたしに気付いた麗奈は、そっとあたしの背中に腕を廻した。

「麗、奈…」

震えるあたしを麗奈は優しく抱きしめてくれる。
だから…

あったかくて、あったか過ぎて、

涙が溢れ出す。