心の傷と爪痕を辿って


ただ、何だ?


そうだ、さっきそれ考えてたんだ…

「菜実?」

難しい顔して考え込んであたあたしに心配そうに声をかけてきた。

「何かね、」

あたしが話し出すとうんうんと顔を覗き込んでくる。

「何かあの時一瞬だけ…」

「一瞬だけ?」