小学校に入学した時の事はあまり詳しく覚えていないけど、この世界の事を何も知らない純粋な少女だった。
友達って何?
ケンカって何?
恋愛って何?
初めて見る世界が新鮮で、毎日が楽しくて、私は自分自身『普通の家庭』と思い込んでいた。

でもそんな時、初めての歓迎遠足があった。友達と行くお出かけが楽しみで、早く遠足に行きたくて、帰ってからも学園の皆に「もうすぐ遠足♫」と言いまわっていた。

…遠足当日。浮かれた気分で向かった学校には、いつもよりもたくさんの人がいた。
皆、知らないおばさんやおじさんを連れて来てる。まるで当たり前かの様に。
私の隣は……誰もいない。

ある一人の子が、私に聞いてきた。
「ありちゃんのお母さんは?」
「おかあさん?先生のこと?」
「違うよー!先生はお母さんじゃないよ。ありちゃん、お母さんいないの?」

どういうこと……?