杏璃ちゃんのお部屋はとってもかわいい。

ハートのクッション、くまのぬいぐるみ、化粧品と香水がズラっと並んでいる。

ご両親もとてもいい人だった。

突然の訪問にも笑顔で対応してくれた。

こんなことはよくあることって言って笑っていた。

杏璃ちゃんの部屋着をお借りして思わず体育座り。

「ふぅ~、お風呂気持ちよかった~。…って、体育座りとか!」

ケラケラ笑いながら髪を拭く。

杏璃ちゃんの髪、きれいだなぁ。

「で、恭平とはそろそろ付き合った?」

「……えっ!?」

突然の質問に目を見開く。

付き合うって!そろそろって!?

「だって紗恵ちゃん恭平のこと好きでしょ?」

ど、どうしてバレてるの!?

ボンっと顔が熱くなる。

「まだなのー?はやくしないと誰かに取られちゃうよ?」

「だ、誰かに…」

その言葉に少し心がモヤっとした。

神尾くんが、隣に特別な女の子を連れて歩いて……。

「で、でも…神尾くんが告白されてるとか、見たことないし…」

「へぇ、意外…。中学の時なんか毎日のように呼び出されてたのに」

ま、毎日!?

かっこいいもんね、そりゃモテますよ…。

「学校の子が告白しないからって、他の子も黙ってるとは限らないじゃない?」

「他の子、って…?」

不安になり、チラッと杏璃ちゃんを見上げるとにやっと笑って、

「私、とか?」