説明し終わり、沈痛な面持ちで俯く5人に口を開く。


「……いくつか質問していいか?」

5人が顔を上げたところで質問を投げる。


「イクヤはあらかじめ渡辺にアポを取ってから行ったのか?」


「いつも取ってから行ってたから、今回も多分そうだと思う」


「イクヤが数学準備室に行った時、中にいたのは渡辺だけ。だが、5人が行った時は、渡辺は部屋にいなかったという事でいいか?」


「イクヤはそう言ってたし、俺たちが行った時の事もそれで合ってる」


「イクヤは急に意識がなくなったんだろう?何かそういう症状が出るような病気があるとか、渡辺に睡眠薬か何かを飲まされたという可能性は?」


「……急に意識なくなったとか見た事ないから病気ではないと思う」


「……確か、カップがあった。イクヤのペンケースの横に」


5人の答えと、渡辺の人格を総合して、考えられる可能性を出す。


「……渡辺に何か飲まされて、意識を失っている間に渡辺と女子生徒がそういう風になるように仕組んだという考えも出来る。あくまで可能性の1つだがな」


そう言うと、5人はいくらか表情をやわらげた。他人から友人は無実だという可能性を提示されて、希望が見えたのかもしれない。