「虐めないと成績を下げる、と脅されてたんだよ。逆に虐めたら成績を上げる、ともな。必修科目の数学を、誰も落としたくはないからな。1組の全員が、渡辺によって虐めの加害者に仕立て上げられてたんだ」
「なるほどな。バレれば、進学にしろ就職にしろ影響は出てくる。口外すれば自分の首を絞める事になるってことか。ましてや進学校で有名な学校だし、外部にそんなことがある、事実じゃなくてもそんな噂が流れるだけで学校の評価はガタ落ち。苦労して入ったのにその努力も水の泡って訳か」
シュウが鼻で笑う。
外面が良いせいか、俺が何人か他の教師に相談したことがあったが、誰も取り合ってくれなかった。そのせいか、1組以外の生徒は虐めの存在を知らないらしい。
「……森が事故に遭う直前に、電話で話したんだ。『大事な話があるから、明日放課後大丈夫か』って。推測でしかないが、虐めをやめさせるほどの何かを手に入れたんじゃないかと思っている。電話をした時、その可能性が頭を過ったが、明日でいいかと思ったんだ。
その時、すぐに森に会いに行っていれば、事故には遭わなかったかもしれない。例え遭ったとしても、すぐに救急車を呼ぶ事が出来た」
伏せていた目を上げ、5人を見る。
「森は生きている。だが、まだ意識が戻らない状態だ。その事に……責任を感じて……学校を辞めた」
俺に何と声を掛けるか迷っているような素振りを見せる5人に、次はこちらから質問をする。

