渡辺が運転する車に乗り、1時間程で一戸建ての大きな家に着く。
「ここは?」
「別荘だ。『手紙』が見つかるまではここで生活してもらう」
今乗っている車の隣にはもう1台車が停まっている。
誰か中にいるのか、と訊くと「まあな」とだけ返ってきた。
車を降り、辺りを見回す。別荘の周りは木々に囲まれ、一番近くの家は数百メートル先にあるだけだった。避暑地として別荘が多いこの土地では、こんな時期に人がいるとも思えないが。
それに、ここまで来る道にも雪が積もっていたが、1台分の轍しか見当たらなかった。恐らく隣に停まっている車のものだろう。

