テーブルに書き置きを残して渡辺と事務所を出た後、森の見舞いに行き、母親から手帳を借りた。


病室の外で待っていた渡辺に何かと問われ、渡して中身を開くと、顔をしかめて「何か分かったらすぐに報告しろ」とすぐに返された。


ミステリーが好きな森はそのジャンルに属するものは手当たり次第に読み、ついには自分で書くようになった。この手帳にはそれに使うトリックなどが書かれている。


森の字はお世辞にもきれいとは言えないので、解読に時間がかかる。手帳を開いて森の字の癖を思い出した渡辺は解読を放棄したのだろう。


ちなみに、本人は本気を出せばきれいな字を書けると言っていたが、未だかつて森の本気を見た事はない。