「『てが』と言うのは『手が』かもしれないし……」


渡辺は自分の手をつまらなさそうに見て、こちらに視線を上げる。


「――『手紙』、かもしれない」


渡辺は口元を歪めて言う。


「……それを探して欲しい。これが依頼ですか?」


「話が早くて助かるよ。引き受けてくれるね?」


断れば瑠稀に何をされるかわからない。


それに、他の所員にも手を出す可能性もある。


「……引き受けましょう」


この状態ではこうするしかない。


渡辺は嫌な笑みを顔に浮かべた。