瑠稀が事務所を出て行った後、外出するための支度をしていると事務所のドアをノックする音がした。
今日は定休日だが、それを知らせるための札などはドアに下げていない。
わざわざ来てもらって悪いが、断ろうとドアを開ける。
「すみません、今日は――」
そこに立っていた人物に言葉を失う。
「久しぶりだな。元気だったか、宮間」
薄ら笑いを浮かべて彼は言う。
「……なぜここに?私はもう生徒ではありません。関係ないでしょう」
「担任だったというのに冷たいな。村山からこのビルの前で君と会ったと聞いてね」
村山……この間会った元クラスメイトだ。
「そうでしたか。それで、わざわざ何の用でここに」