「じゃ、あとよろしく」 警察に突き出すなり釈放するなり好きにしてと窃盗犯の襟首を離す。 そして自分の荷物を手に持ち、どさくさに紛れてこの場から離れようと足を早める。 が、「待って待って」と手首を掴まれる。 「義理、出来たよね。奢らせて」 と元クラスメイト(多分)はニコリと微笑んだ。 道に捨てたはずの窃盗犯はいつの間にか消えていた。