エレベーターが到着した軽い音でキーボードを叩いていた手を止める。パソコンのディスプレイに表示されている時間は午前6時7分。


こんな時間に誰だ。眼鏡を外して部屋を出る。


窓から見える外はまだ薄暗い。


事務所のドアのすりガラス越しに人の影が見える。


「Karasu? Open the door!(鴉?開けなさい!)」


この声は聞き覚えがある。それに、こんな早朝にこんなことをしてくる知り合いは1人しか心当たりがない。


仕方なくドアを開けると、見知った顔が居た。


「何の用だ?」