後ろから口を塞いできた人物、ルークに連れられて家の中に入ると、タバコをくわえた高校生くらいの人と目が合う。
相手もあたしに気づいたようで、お互いに指をさして声を上げる。
「アンタ偽の窃盗犯!?」
「オマエ宮間の彼女!?」
静かにしろとルークに怒られながら顔を確認するが、やはり村山にカフェに誘われた時、あいつの鞄を盗んだやつだった。
偽の窃盗犯の声を聞いて、玄関からついてきた他の4人の男もこちらをガン見してくる。
ルークはあたしをヒーターに一番近いところに座らせると、温かいお茶を淹れてくれた。テーブルを挟んで向かいにいる5人が気になる。
ルークは腕時計とネックレスを見て口を開く。
「莉央、どうせ聞いているんだろう。渡辺はまだここにいる。轍が残るからこっちには来るな、待機していろ」
普段どっちも身につけないから不審に思ったのだろう。ルークはあたしの隣に座り、腕を組んで言う。
「こんなところまで来て何をしていた」
「そっ……そんな言い方ないでしょ!みんなルークの事心配してるのに!」
「声を上げるな、渡辺に気付かれる。……心配しろと頼んだ覚えはない。それに、メモも残して来ただろう」
その言い方に腹が立ち、マグカップをテーブルに置くと、ルークの両頬をばちん!と両手で思い切り挟む。