2階の方からドアが閉じる音がすると、少し離れた場所から渡辺の背中を黙って見送っていた5人が近寄って来る。
「睡眠薬でも入れたのか?」
キョウが渡辺の空になったカップをじっと見つめる。
「いや、そんなものは入れていない」
「じゃあなんで仮眠取るなんて……意外すぎ……」
タクミの発言にみんなが頷く。
「本業の方が忙しいのだろう。顔色も良くなかったからな。カモミールティーを出しただけだ」
『手紙』の手がかりも掴めた事も安心材料になったのだろう。
「リラックス効果があるってやつか?そんなのあったんだな」
「ここ来る時に寄ったコンビニで俺がカゴに入れた」
シュウの疑問にタクミが答えると、「女子かお前は!」とアツシがツッコミを入れた。
「……ま、とりあえず帰る支度だな」
各自荷物をまとめ始める。荷物が手帳だけの俺は5人の手伝いをする。
2階の窓からふと下を見た時、夕闇に紛れてここにいるはずのない人物がコソコソと動いているのが見えて、ため息をこぼす。
裏口から外に出て、2階で休んでいる渡辺に気づかれないよう静かに近づく。
「動くな」と小さく言い、騒がれないよう口を塞いだ。

