森の手帳を意味もなくめくる。
「読む」ではなく「解読」という言葉がふさわしい癖の強すぎる字を見ると、森の書く字に関するエピソードを思い出す。
癖が強すぎて試験の解答やノートの文字が読めないと教師に呼び出されたり、「ラブレターを書く時どうするの?ひらがなの練習からやり直したら?」と母親に言われたりしたという。
そこで、引っかかるところを見つけた。
「ノート……手紙……note……」
栞紐を挟んでおいた、パスワードなどが書かれたページを開く。
サイトなどの名前と思われる中の1つに「note」というものがある。
「……これか」
「手紙」や「Letter」といった単語を目印に探していたが、英単語の「note」には「略式の短い手紙」という意味もある事を失念していた。
「notebook」の「note」だと思い、森が小説を書いているサイトのようなものだと思い込んでいたが、以前「note」というスマートフォン用のメッセージアプリを森が試したいからと自分のスマートフォンにもインストールし、使った事がある。
森がすぐに飽きて使わなくなり、俺もすぐにアンインストールしてしまったので、今まで忘れていた。