「確かに怪しいがこれだけでは……」
「何で!?生徒に薬盛る先生って普通じゃないよね!?どうにかして……っ」
微妙な返事をする警察の人に思わず声を上げると、莉央さんに宥めるように名前を呼ばれる。
「だって……」
「瑠稀ちゃん」
「……すみません……」
莉央さんから目を逸らしてぼそりと謝罪の言葉を口にする。
室内に沈黙が降りる。
「……もしそのカップがまだ手元にあるようでしたら、預かって調べさせていただきますが……」
警察の人がそう言うと、慎也さんはお願いしますと頭を下げた。
「えっと……今日は失礼しますね。もし何かあればこちらにご連絡ください」
もう1人の警察の人が気まずそうに名刺を差し出し、2人は病室を出ていった。
再び静かになった室内にピピピッと電子音が響いた。
「あ、ごめん」
学のスマートフォンをポケットから出す。
「……渡辺の車が動いた。この方角だと、昨日帰った所じゃない。どこに向かってるんだろ……」
発信機をつけてから病室に来た時に、発信機をつけた車が渡辺の物なのかという確認は慎也さんにしている。
「追ってみる?」
莉央さんの言葉にコクリと頷くと、ぽんぽんと親が子供にするように頭を撫でられた。

