「事故に遭う前、放課後渡辺に呼び出された事があって、数学準備室に行ったんだ。そこに行って、渡辺が飲み物を用意してくれたところで、来客がいるって渡辺が呼び出された。その間、一人で待ってたんだけど、たまたまパソコンのスリープモードを解除しちゃって、画面が見えたんだ。それが、通販サイトの睡眠薬のページで、不安になって……。飲み物にはまだ口をつけてなかったから、咄嗟に袋に入れて鞄にしまって、中身の成分分析を依頼したんだ」
「賢明な判断だ。その結果がこれだったんだね」
莉央さんが確認をすると、慎也さんが頷く。
そこで病室にノックの音が響き、お母さんが「あ、警察の方が来るんだった」と病室のドアを開ける。
「失礼します」と男性が2人病室に入り、警察手帳をそれぞれ呈示して自己紹介する。
「当時の担当が異動しているため、今回から私たちが担当させていただきます」
以前の調書を元に質問をしていき、一通り終わったところで「何か思い出したことや気づいた事などありますか?」と質問をされ、慎也さんとお母さんがこちらを見る。
「?……どうかされましたか?」
警察の人もこちらを見ると、莉央さんが慎也さんとお母さんに頷く。
「……実は……」
一つ深呼吸をして慎也さんが鑑定所からの報告書を警察の人に手渡し、説明をする。

