眠りにつくその日まで


「えー、じゃあただ美味しいだけの無能なアメをあげよう。」



私は鞄からミルクとキャラメルとが混ざりあった味のアメを取り出して美羽に渡した。





「無能なアメって。」





私のボケに笑いながら、ありがと、と美羽はその包みを開けてそれを口に放り込んだ。




「ん!このアメ美味しいね!」





「でしょ!お気に入りなの。」




「最初からこれくれればいいのにー。」



「ゴホンときたら龍角散でしょ!」




「ある意味女子力……」






ある意味女子力、に私はツボに入ってしまってしばらく笑っていた。





「風邪流行ってるのかなぁ。今朝隣のリーマンがゴホゴホしてたよ。」






「私の前のおじさんも咳してたな。流行ってるのかもね。」






「変な天気だからかなぁ。やだねぇ。」






私は曇り空を見上げた。





湿った空気が肺に入り込んでくるようだった。