タイムトラベラー・キス

野々村を励まそうとする一方、もう一人の私が”今がチャンスだよ”とささやきはじめる。
確かに、この流れだったら同窓会のことも話すことができそうだ。


私は静かに箸を置き、一回小さく深呼吸をしてから野々村のほうを見た。


「……でも、久しぶりに友達に会いたいっていう気持ちもあるの。それで、来月の……」

「同窓会か?」

「うん、やっぱり行きたいなぁって思って……」


どうしよう、とうとう言ってしまった。
野々村はどんな気持ちになっているのだろう。
竜見くんの名前が出てきたら、どんな顔をしたらいいの……。


野々村の次の言葉を聞くのが怖くて、まっすぐに目を見ることができない。


「行ってこいよ。この前もそう言っただろ?」


このとき、野々村の声が特別優しく聞こえたのは、気のせいだったのだろうか。