タイムトラベラー・キス


屋上につながる、重い鉄の扉をゆっくりと開ける。

やっぱり、いた……。


野々村くんは一人で、相変わらず焼きそばパンと紙パックのコーヒーを飲んでいる。
気に入ったら同じものを食べ続けるところ、ずっと変わらないね。



「……パンだけでお腹減らない?」


どきどきしながら、野々村くんと横に並んで座る。
私たちの上には五月晴れの青々とした空が広がっていた。


「別に。っていうか、俺はもうお前には近づかないって言っただろ。何しに来たんだよ」


「野々村くんにちゃんと報告しようと思ってきたの。竜見くんとこの前別れたって」


「えっ」


野々村くんの驚いた表情を見て、竜見くんから何も聞いていないことが分かった。

そういえば、未来の竜見くんは「もう10年も口をきいていない」って言っていたな。