「きゃっ」
勢いに負けて、思いっきりしりもちをついてしまう。
「それに、相手は晃の親友でしょ?晃を苦しめて何が楽しいの?あんた、ほんと最低!」
そう言いながらユカは、手帳を持っている手を上に掲げた。
……手帳を投げつけられる。
そう思って目をつぶった瞬間、ある人の声が耳に響いた。
「止めろ!」
……10年間ずっと隣で聞いてた、少し低くて掠れた声。
この声を聞くと心が落ち着くんだなって、今この瞬間に気がづいた。
「野々村くん……」
野々村くんは額に汗をいっぱいかいて、息を切らしている。
また、私のために急いで駆け付けてくれた……。
彼の姿を見た瞬間、いろんな感情がこみ上げて涙へと変わっていく。
「あら、もう一人の彼氏の登場じゃない。野々村くん、だっけ。何しに来たの?」
ユカは野々村くんに対しても冷たい視線を向けていた。
竜見くんを裏切った男として、憎んでいるのだろうか。


