タイムトラベラー・キス


「ねぇ、どうしてこの手帳を私が持っているか気になるでしょう?」


「……はい」


「これね、ちょっと前に晃の部屋で見つけたの。ベッドの下に落ちていて、竜見くんに聞いたら”いらない”って言うからもらってきちゃった」


人を見下ろすような笑みを浮かべて、手帳をぱらぱらとめくり始める。
もうとっくに全部読まれているんだろうけど、目の前でそれをされると不愉快すぎる。

それにしても、つくづく竜見くんって最低な男だ。


「人の手帳を勝手に見るのはやめてください!」


「”3月7日竜見くんに告白した。彼も私のことを好きだと言ってくれた、夢みたい。この恋を大切にしよう”だって!まじ笑えるー。晃は同情で付き合ってただけなのにねー」


ユカをはじめ、先輩たちは17歳の私の手帳の内容を見て、何がおかしいの?って疑問に思うくらいに笑っていた。


「”4月2日竜見くんと映画を見に行く約束をした。デートの日までに自分を磨いて少しでも可愛くなろう。もしかしてキスもしちゃうかも?”だって、手帳にこんなこと書いて恥ずかしくないのかなー。どんなに自分を磨いたってブスはブスだし、晃にとってキスなんて挨拶みたいなもんなのにねー」