優しい時刻



―――日樹がうちに来た日の夜


「いい? 置いてあげるんだから変なことはナシよ。その時は幼なじみでも警察に突き出すからね!」

「大丈夫、絶対何もしね〜って。住むとこなくなると困るし・・」

そう言うとソファから立ち上がり、私へ近付いてくる。

  


え。


ちょ、っちょと。



日樹にせまられ、後ずさりした私の背には壁。

怖くなった私は目をぎゅっとつぶった。

ポンと置かれた日樹の手から体温が伝わってくる。





あ。

手・・・大きくなったな。






なんて思ったら、怖いキモチはスッと消えてた。





「佑美は・・女の枠に入ってねーよ」







えーーッ 何それ!



ムカッとして目を開けたら、日樹の顔が目の前にあって






きゃーーーーーーーーッ




日樹は頬にキスすると、ゆっくり離れていく。

頬に手をあてたまま、ジッとしてたら「前よりキレイになったよ」と頭をわさわさ撫でた。



「ち、ちょっと」


赤面する私に構わず、飄々としたまま「何か問題でも?」と言いたげな顔をしていた。

「おやすみのキスはあいさつだよ」
「こ、これもナシだからね!!!!」