優しい時刻

これが影響したのか、大学の勉強も集中できた。
だって、その日の実習メニューが晩ご飯になるんだから。

「佑美、楽しそうだね」
「たくさん料理作るの、やっぱり嬉しくって。私の天職かもね」



今日はアオくんが来てから初めて友達を呼んだ。

入学式の時、隣りに座ったきっかけで学科が違うけど、ずっと相談にものってくれてる松山麻子(国文科に在籍してる)
そう、この前図書館で"春画本"を私に託していった友達。

大事なあの人形を一度学校で落として、見つかるまで一緒に付き合ってくれたんだよね。

もちろんアオくんのことも話してる。




「でも日樹くんって同じ歳でしょ。男なんか部屋に入れて大丈夫?」

レタスをちぎりながら麻子は私の顔をのぞき込む。ニンジンをリズムよく千切りに、手を休めなまま話。

「大丈夫、ちゃんと約束したから」