ちぇーとわざとらしく舌打ちみたいなもの(先輩は舌打ちが究極に下手)をしてみせる先輩は、何もしなければかっこいい部類に入るのだろう、と思う。 何もしなければね。 今だって、夕陽に照らされた先輩の横顔はなんかの映画のワンシーンみたいなのに、舌打ちが全てを台無しにしている。 「なーに、俺の顔に見とれちゃってんだよ」 にやにやしながらそう言ってくる先輩に、またため息。 「見てません見とれてませんそんなわけあるか…あぁ寒気が」