『よろしくね』
トナリの男の子の声は信じられないくらいさわやかで聞き惚れるようだった。
しばらく返事が返せなかった。なんというか、ドキドキした。
名札には《柴谷剣斗(しばたにけんと)》と書いてあった。
柴谷くんは
『俺、柴谷剣斗。よろしくね』
女の子みたいな可愛い顔なのに喋り方はとても男の子だった。
「私、森野苺。よろしくね、柴谷くん」
なんだか分からないけど、顔が赤くなった。
その時、
『しばけーんっ!!また、一緒のクラスじゃん、よろしくな!』
振り向くと男の子が走ってきた。
『おう、よろしく』
『お前のトナリの子可愛いじゃん
俺、山川悠(やまかわゆう)
よろしく!森野さん』
柴谷くんの友達の山川くん。優しそうなさわやかな男の子だった。
「よろしくね、山川くん。」
それにしても、柴谷くんしばけんって呼ばれてるんだ。ぴったり。
『俺の席のトナリも可愛いんだぜ。
甘口咲ってやつ』
「咲?私の友達だよ」
『あ、そうなんか!ところでさ・・・』
と、いいかけたときチャイムが鳴った。『ごめん、またあとで!』
といって自分の席へ戻っていった。