パーフェクト エンド

『お待たせー!』


突然、助手席のドアが開き、心地よい呑気な声が放り込まれた。


『遅ぇよ。
トイレにどんだけ時間かかってんだよ』


俺は助手席に乗り込むカヲルへと煙り混じりの溜め息を浴びせた。


『うわぁ…。
レディに対して普通そんなこと言う?』


頬を膨らませたカヲルは、何やら紙袋らしき物を足下に置いた。


『何だそれ?』


出る時には持っていなかったはずのソレに、俺はカヲルを見た。


『ふふーん。
実は、遅くなった理由がここに入っているのだ』


やけに得意気な様子のカヲルは、おもむろに紙袋の中へと手を突っ込んだ。


カヲルがこんな感じの時は、いつもだいたい大したことが無いパターンが多い。


『じゃーん!!』


カヲルは掛け声と共に、紙袋の中のモノを空中に放った。


『何だこりゃ…。
金?』


やはり予感は的中した。カヲルが車内にぶち撒けたのは、沢山の紙幣だったのだ。


『凄いでしょー?
これ集めるの苦労したんだからね。
これで私たちお金持ちだよー!』


はしゃぎながら札を何度も舞わせているカヲルの無邪気な姿に、俺まで思わず笑みがこぼれてきた。


『…ったく、折角のデパートなのに、もっと良い物なかったのかよ』


『あるわけ無いじゃん。もう、お金くらいしか残ってないよ』


カヲルの言葉に、俺は唇を噛みしめた。


『しゃーねぇな。
じゃあ…ここは、強盗犯らしくさっさと逃亡すっか!』


俺は、一瞬垣間見えた憂鬱な空気を蹴散らすように声を張り上げた。


『さんせー!
レッツゴー!』

それを知ってか知らずか、カヲルは相変わらずの呑気な声を響かせた。