「………なんだかんだ言ってお前が大事だそうだ。………そうでしょう、お義父様。」


「え………?」


辰彦の目線の先へパッと振り返ると気まずそうに立っていたお父様が。


「………辰彦君の言う通りだ。明日の朝刊を見てみなさい。」


「………素直じゃないですね、2人とも。

お義父様は雪穂をこれ以上傷つけないためにマスコミに持てる権力を全て使って圧力をかけたんだぞ。」


「………。だったらそうやって最初から言いなさいよ。」


「どう言ったらいいのか分からなくてな。」


「それでよく政治家なんかやっているわね。」


そんな私たちを辰彦はそっと見守ってくれていた。


「雪穂、私は医者の説明を先ほど詳しく聞いてきた。………子供の世話を私にもさせてくれ。」


「え………?」


今まで見たことない優しい父の姿。


「………それが妻に対する謝罪になるだろうか………。」


「………お母様に直接聞いてください。私はお母様ではありませんし人に聞くものではないです。」


それでも………


「必ずこのお腹の2人の子供を産んで、後継にしてみせますから。」


初めてかもしれない。


私はお父様に心からの笑みを向けた。


-雪穂side end-