「………これでどうだ?」


会場を適度に巡回していた男の人が書類を見せてきた。


驚いたように目を見開いた女たちは膝から崩れ落ちていった………。


「遅いわよ!おかげで優莉が………!」


「落ち着け雪穂。」


男の人はパチンと指を鳴らした。


会場にいた客の一部が一斉にこちらに近づいてきた。


「逮捕に依存はないな?」


「………ございません。」


………やっと終わった………。


ちょっとめまいがして体がふらついたところを支えてくれた。


「まだまだ修行が足りんわ、優莉。」


「申し訳ありません、お祖父様……。」


そう、この方はお祖父様。


そして会場には私の護衛として大勢の部下を忍び込ませていたらしい。


「でもようやってくれた。莉依紗よりはいい腕しておる。」


そっと背中を撫でてくれた。


「お祖母様も助けてくださってありがとうございます。」


「あら、私なんか。でもこの会場にいる客はこのモデル調査の件を知っているから安心して。」


クールな印象をもつお祖母様だけど、優しく微笑んで頭を撫でてくれた。


「ようやくやりたいことが終わったから葵のところへ行ってきますね。」


「気をつけてな。わしらは帰るから。」


お祖父様はお祖母様をエスコートして帰って行った。


………とても還暦を超えているとは思えない後ろ姿だった。