「奥様、失礼いたします。旦那様がお帰りになりましたよ。」


「分かったわ。部屋に連れてきて。」


大樹遅かったわね………


最近また仕事が忙しいみたいだからかしら?


コンコンと丁寧な部屋のノックが聞こえた。


「りい………遅くなってすまん………。」


………なんか疲れてるのかしら?


「お帰り………遅かったわね。どうしたの?」


「いや………ちょっとキャバクラに連れて行かれそうになったから………。」


キャバクラ?


「で、行ってきたの?」


自分から出た声はびっくりするほど冷たかった。


「大樹、莉依紗様がお待ちだったのにお前……。」


荷物を置きに来てくれた竜也も私の味方だ。


「行ってねえって!だったら親父が証明する。俺が困っているのを親父が証明するから。」


「………証明できなかったらお父様に殺してもらうけどいいかしら?」


滅多に使わない“山岸家”の力にさすがの大樹も震えた。


「証明できるから!!………りい怖えよ。」


「竜也、もう帰っていいわ。」


「かしこまりました。」


竜也は逃げるように帰って行った。


部屋には私と大樹の2人だけになった。