「………ん………。あれ?葵だ………。」


眠そうにフニャッと笑うユリは可愛らしい。


ゆっくりと起き上がり、身だしなみを整えていた。


「いつからいたの?」


「5分くらい前だ。なあ、理央兄。」


「そうでございますよ。お嬢様を起こすのはためらっていらっしゃったみたいで。」


………話合わすのうまいな………。


「………机の上の書類………。またこんなに仕事していたの?」


不安そうに顔を歪めた。


俺の素性はかなり有名なはずなのに知らないのはすごい。


俺が会社の仕事を半分請け負っているとは言ったけどどこの会社とまでは言っていない。


「………疲れた。」


「………手伝おうか?少しなら何か力になると思うよ。」


言葉に甘えてしまおうか。


「じゃあこれを翻訳してくれる?」


「分かったわ。でも一旦身なりを整えてくるね。」


駆け足でバスルームに向かっていった。


「………葵とお嬢様を見ていて何となく自分に答えが出たかも。」


理央はこちらを見て微笑んでいた。


「………そうか。何かあったら協力するから言えよ?」


俺たちは固い握手をした。


-葵side end-