「………桜井家は昔、年頃の男の子に抱き方とか女性の引きつけ方とかを教えていたことがあったらしいんです。

我が家の女が主人に指導していたらしく。………父に何があるか分からないから一応やっとけと。」


………竜也さん真面目そうなのに。


「俺は資格をとって初めて仕えたのは真理亜様で、当時命令は何でも聞くものだと思っていた。

だから言われるままに処女を奪ってしまったんだけど………。」


「………理央兄に思いの外感情移入していたようだってこと?」


「ああ。それからお嬢様に仕えてやらなくなったけど。」


でも真理亜だって誰でもよかったわけじゃないよな。


あいつだってクラスにいるやつに誘われたら誰でもいいっていうわけじゃないと思うし。


何より足が悪いことをかなり気にしていたし。


「理央兄は何で受け入れたの?一応主人なんだからギリギリでよかったんでしょ?」


「………あの時はいつも他の女とヤッている俺と違った。」


うなるように悩んでいる。


………理央兄、それって………


「好きだったんじゃないのか?」


ただの主人とは思えないなら。





「………葵の意見を参考にさせてもらおうか………。」


それでも話す前よりは明るい表情になっていた。