「浅井は………お前にヤキモチ妬くのか?」


ーゴトッ


「熱っ!ちょっとポット落ちかけたぞ!」


「うわ………ゴメン。足指にちょっとだし冷やすまでもないだろ?」


明後日の方を向いて開き直ったな?


これが親友じゃなかったら土下座されていたところだったな。


「そう堂々とするのはお前だけだ。」


少し溢れたお湯を吹いて玲央は漸く座った。


「で、葵。なんでそんな質問を?」


「ユリが妬いてくれない………。」


俺の悩みはこういうことだ。


「お前の悩みはそれか。………結構大したことないな。」


………胸にグサグサ刺さったぞ。


「夏菜は妬いてくれる………んじゃないか?そんなこと本人に聞け!」


「言えるわけないだろ!」


「だよな。でも頻繁じゃないし。………ユリは多分ヤキモチなんか妬かないだろ。」


幼馴染のコイツが言うんだ、1番よくわかってるだろうな。


「俺に聞くより夏菜に聞け。協力してくれるんじゃないか?」


呆れた口調だったが目はしっかり俺に向いていた。


玲央はこういう奴だ。


「………帰ってきたら浅井だけをこっそり俺の部屋に呼べ。」


「かしこまりました、高澤様。」


玲央はすぐに携帯を取り出して連絡していた。


執事モードだなと思いながら玲央の背中を見つめていた。