-葵side-


ユリが退院して学園に通えるようになった。


優等生制度は使っているけど以前ほどは使わなくなった。


俺は家の方があるから時々しか校舎の方へ行けないけど。


クラスの人たちとも真理亜とも漸く打ち解けられて俺ら3人は安心しているところだ。


平和。


そう………以前とは考えられないほどに平和な毎日を過ごしている。










「はあ…………。」


「おい、なんだよため息ついて。俺がユリ様じゃなくって嫌なんだろ?」


玲央の片眉がわずかに動いた。


………不機嫌らしい。


今日は休日でユリと浅井が校外へ買い物に行ったらしいので、俺の部屋でのんびり過ごしていた。


男2人って意外と悲しく………いや、そんなことはないはずだ。


「そうじゃねえって。ちょっと悩みがあってな………。」


「…………話せるなら話してもいいけど。」


さりげなく紅茶を淹れなおす玲央はやっぱり執事の卵らしい。