「話が逸れたわ。」


ふうっと息を1つ吐き、すっかり母の顔。


「………男の子よ。」


男の子か………。


「ユリ様、お名前は?」


「海(かい)よ。海と書くの。広い心を持った優しい子に育って欲しいから。」


ふふっと笑った母さんは幸せそうだった。


「海様、ですか………。兄である陸様と対のようなお方になるでしょうか?」


じいが目を細めながらなんだか嬉しそうな様子。


「確かにそうね。でもなんか喧嘩しそうだわ。」


先生………。


笑ってそんなこと言わないで。


「じゃあその時は先生に陸を扱いてもらうわ。覚悟してね、お兄ちゃん?」


………さっきの学校のサボりのこと?


分かったよ、ちゃんとしないと母さんにすぐバレるって分かったから!


「………はい。」


母さんには本当に勝てる気しないな………。


僕は後日弟の頬を突きながら心では母さんを絶対に怒らせない、と心に誓い続けた………。


-陸side end-