「お前、しっかりしてんな。」


壁にもたれかかって腕を組んだ父さん。


………不機嫌。


「そう?だって父さんいない時母さん寝れないからって夜遅くまで仕事してるんだよ?」


僕なんてまだまだ、手をひらひら振ってみせた。


「………お前は本当に小学生か?少なくともそんな性格ユリの前では見せてないだろ。」


「葵、私に分からないことはないわよ。」


父さんとパッと振り返ると、母さんが呆れた様子で立っていた。


「ユリ!お前寝ておけよ!」


「ちょっとくらい大丈夫よ。で、陸。」


「はい!」


母さんの目………笑ってない。


「………葵と家に帰りなさい。もう遅いし明日は学校よ。」


困ったように笑われちゃ………帰るしかないね。


「行くよ、父さん。」


「じゃあね、陸。」


「明日来る時は連絡よこすから。」


「おい、ちょっと!」


「葵、仕事よろしくね!」


残りたがる父さんを僕はひきづる羽目になった。