「陸、光、ちょっと俺にも貸せ。」


「葵………?仕事は?」


母さんは父さんの顔を見るなり不安そうな表情になった。


「それよりお前が大事だ。」


母さんのそばにいた僕たちをやんわりと引き剥がした。


「陸が俺を呼んでくれたんだ。だから駆けつけられた。ありがとな。」


父さんに怒られるっていう意味が分かったかも。


父さんは母さんが大好きだから。


「高澤君、はいこれ。」


僕がもらった袋を夏菜様が渡していた。


「葵………。」


なんで母様顔真っ赤なの?


また熱が上がったの?


「陸様、光様。奥様は葵に任せて暫く本家へ行きましょうか。」


え?本家に?


「………大人になったら教えてあげますよ。」


玲央さんの謎の言葉になんとなく僕分かっちゃったかも。


………前に見ちゃったから。


「うん。じゃあお祖父様のところへ行こうよ、光。」


「お兄ちゃまの言うこと聞けってお父ちゃまに言われたけど大丈夫なの?」


「うん。」


まだ………光にあの母さんたちを見せちゃいけない。


“母さんをよろしくね、父さん。無理させたら怒るからね”


母さんの机にメモを残して何も知らないふりをして玲央さんたちに着いていった。


-陸side end-